行方不明になった本ではありません。

幽霊刑事 (講談社文庫)

幽霊刑事 (講談社文庫)

本についてる帯をみて恋愛小説書くんだ!というのが最初の感想。そういう意味では有栖川作品の中では異色なのかも。推理小説としてもきちんと成立してて良いです。


主人公が幽霊という時点で結末は分かりきっているんですが、ラストの演出?にぐっときました。切ない。
主人公の恋人が幽霊として戻ってきたことが理解できず、現実として理解しやすい方に考えていくところとか。…まぁ普通に考えて、いきなり彼は幽霊になって戻ってきたんですよ!ここに死んだ恋人が立ってるんです!って言われてもねぇ…。自分にはみえないし、簡単に信じられないですが。多分自分も同じこと言われたら、その人の精神状態を心配すると思う。だから彼女が最後の最後に取った行動にぐっときました。ベタだけど。・゚・(ノД`)・゚・。


主人公の幽霊の姿が唯一見える後輩刑事の設定が、イタコの孫っていうのがちょっと笑えました。二人の掛け合いもいい感じでしたし。幽霊であるがゆえの現実世界に干渉できない悲しさとか、さびしさとか、むなしさとか、そういうのが和らぐというか。必要以上に湿っぽくならない感じで。


まぁ見えるには家系とかありそうな気がします。なんとなく。霊感がなくてよかったなーと思ってみたり。うん。ていうか、そういう締め?